9/7|気象から考える、身近な防災――藤沢でも「高齢者等避難」が発令された夜|横山 ゆみひこ
【この記事のポイント】
・9月6日、藤沢市でも大雨・土砂災害の危険性が高まり、「高齢者等避難」が発令されました
・今年5月から、防災気象情報の仕組みが大きく変わりました
・気候変動が進むなか、大雨などへの「備え」もますます重要になっています
・同じ藤沢でも、海、河川、崖、低地など、地域によって災害リスクは異なります
・防災を「特別な日」だけのものにせず、日頃から自分の地域でどう動くか考えておくことが大切です。
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皆さんにとって、「防災」はどのくらい身近なものでしょうか。
先週9月1日は「防災の日」でした。
地域で避難訓練などに参加された方もいらっしゃるかもしれません。
そして、この記事を書いていた9月6日。
藤沢市でも、改めて防災について考えさせられる状況となりました。
大雨や土砂災害の危険性が高まったことから、藤沢市は9月6日18時、市内全域の洪水浸水想定区域と土砂災害警戒区域に、警戒レベル3「高齢者等避難」を発令しました。
高齢の方や障がいのある方など、避難に時間を要する方に対し、危険な場所にいる場合には避難を始めるよう呼びかけるものです。
これに伴い、御所見、長後、遠藤、六会、湘南台、湘南大庭、善行、明治、藤沢、村岡、辻堂、鵠沼、片瀬の13地区の市民センターが、指定緊急避難場所として開設されました。
気象・避難情報は刻々と変化します。
この記事をご覧になった時点での最新情報については、藤沢市や気象庁などの公式情報を必ずご確認ください。
*9月7日朝時点では雨のピークは越えつつありますが、引き続き最新の公式情報をご確認ください。
■ 私自身、防災を教える立場でもありました
私は以前、静岡県の学校で教員として働いていました。
駿河湾にも近い地域だったことから、台風だけでなく、河川の氾濫、高潮や高波、土砂災害などについて、子どもたちと一緒に考える機会がありました。
ただ、最近の気象を見ていると、防災は以前にも増して「特別な日の話」ではなくなっていると感じます。
短時間の大雨による道路冠水。
河川の増水。
土砂災害。
藤沢でも決して他人事ではありません。
■ 今年から変わった「防災気象情報」
今年5月29日から、気象庁の防災気象情報の仕組みが大きく変わりました。
これまで、大雨、土砂災害、河川氾濫、高潮などに関する情報と、住民が避難する際の「警戒レベル」との関係が複雑で分かりにくいという課題がありました。
そこで、情報の名称に警戒レベルの数字を付けるなど、住民が避難の判断をしやすくする方向へ整理されました。
例えば、これまでの「大雨警報」は「レベル3大雨警報」という名称になりました。
レベル3やレベル4の情報が発表された場合には、危険度分布(キキクル)や河川の水位情報なども確認しながら、早めに避難を判断することが重要です。
そして今回、実際に藤沢市でも「警戒レベル3」の避難情報が発令されました。
制度を知っているだけではなく、
「自宅はどの区域にあるのか」
「どこへ避難するのか」
「そこまで安全に移動できるのか」
「家族に避難に時間がかかる人はいないか」
まで考えておくことが大切だと、改めて感じます。
■ 同じ藤沢でも、災害リスクは違う
藤沢市と一言でいっても、地域によって地形や災害リスクは異なります。
海に近い地域。
河川の近く。
坂や崖のある地域。
低地やアンダーパスのある地域。
大雨のときに「どこが危険になるのか」は、それぞれ違います。
だからこそ、一度、自宅や職場の周辺をハザードマップで確認してみてください。
「自分の家は大丈夫」と思っていても、避難経路の途中に危険な場所があるかもしれません。
冠水した道路やアンダーパスに入らない。
増水した河川に近づかない。
崖や斜面の近くでは土砂災害に注意する。
そして避難が必要になったときに、
「どこへ逃げるか」
だけでなく、
「どうやって安全にそこまで行くか」
まで考えておくことが重要です。
■ なぜ大雨について考える必要があるのか
ここで少し、気候変動との関係についても考えてみたいと思います。
地球温暖化が進むと、大気中に含むことのできる水蒸気量が増え、大雨のリスクを高める要因になります。
もちろん、一つひとつの大雨や台風について「すべて地球温暖化が原因だ」と単純に結びつけることはできません。
実際の気象現象には、台風、前線、気圧配置、地形、海面水温など、さまざまな要因が関係します。
一方で、世界や日本の平均気温、日本近海の海面水温が長期的に上昇していることも観測されています。
気象庁・文部科学省の「日本の気候変動2025」でも、日本国内では極端な大雨の発生頻度が増加しており、強い雨ほど増加率が高いことが報告されています。
また、今後も極端な大雨の発生頻度は、全国平均で増加すると予測されています。
つまり、
「自然現象だから仕方がない」
でも、
「今回の大雨はすべて温暖化のせいだ」
でもありません。
気候が変化していくなかで、災害のリスクがどう変わっていくのかを見ながら、
温室効果ガスを減らす「緩和」と、すでに起きている、あるいはこれから起こりうる変化に備える「適応」。
その両方を進めていく必要があります。
■ 藤沢市でも進む気候変動対策
藤沢市は2021年2月に「藤沢市気候非常事態宣言」を表明しました。
さらに2022年3月には「藤沢市地球温暖化対策実行計画」を改定しています。
この計画では、温室効果ガスを減らすだけでなく、気候変動によって生じる影響にどう備えるかという「地域気候変動適応計画」も位置づけられています。
また、2030年度までに、市域全体の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標も掲げています。
神奈川県でも、気候変動対策とともに、水防災などの取組が進められています。
神奈川県には、都市部もあれば、山間部もあります。
大きな河川もあれば、相模湾に面した長い海岸線もあります。
藤沢だけを見るのではなく、河川、山、海を含む神奈川県全体を俯瞰して考えることも必要だと思います。
■ 世界でも続く気候変動への議論
世界では、「パリ協定」という国際的な約束のもとで、気候変動対策が進められています。
パリ協定とは、2015年に採択された、世界全体で地球温暖化に取り組むための国際的な枠組みです。
大きな目標は、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて「2℃より十分低く」抑え、さらに「1.5℃以内」に抑える努力を続けること。
そのため、先進国だけではなく、途上国を含むすべての国が、それぞれ温室効果ガスをどれだけ減らしていくかという目標をつくり、5年ごとに提出・更新していく仕組みになっています。
簡単に言えば、
「地球の気温上昇をできるだけ抑えるために、世界各国がそれぞれ目標を持って、一緒に取り組んでいこう」
という約束です。
そして、その世界各国が集まり、気候変動への対策について話し合う大きな国際会議が「COP」です。
今年11月9日から20日には、トルコ・アンタルヤでCOP31(国連気候変動枠組条約第31回締約国会議)が開催されます。
国際的な合意形成は簡単ではありません。
先進国と途上国では、これまでの温室効果ガス排出量も、現在抱えている課題も異なります。
それでも、気候変動は国境を越える問題です。
世界でどんな議論が行われているのかを見ると同時に、私たちが暮らす藤沢、神奈川で何ができるのか。
そこも一緒に考えていくことが大切だと思います。
■ 防災を「特別な日」だけのものにしない
9月1日の「防災の日」。
そして、その数日後に藤沢市でも実際に発令された「高齢者等避難」。
今回改めて感じたのは、防災を「防災の日だけ考えるもの」にしてはいけないということです。
ハザードマップを見る。
避難場所を確認する。
安全な避難経路を考える。
家族と連絡方法を話しておく。
スマートフォンで防災情報を受け取れるようにする。
一つひとつは、小さなことです。
でも、その小さな準備が、いざというときの行動につながります。
そして行政側も、情報を出すだけではなく、「その情報を受け取った市民が、実際に行動できるか」というところまで考えていかなければならないと思います。
同時に、日々、防災業務や防災政策に携わり、地域の安全を支えてくださっている自治体職員をはじめ、関係する皆さまに、改めて感謝と敬意を表したいと思います。
災害は、いつ、どのような形で起きるか分かりません。
平時から備え、いざというときには昼夜を問わず対応にあたる方々がいるからこそ、私たちの地域の安全が支えられています。
防災も、気候変動も、私たちの暮らしから遠い話ではありません。
皆さんがお住まいの地域で、
「大雨になると、この道路が心配」
「この川の水位が気になる」
「避難場所まで行くのが難しい」
「防災情報が分かりにくい」
など、お気づきのことがあれば、ぜひ教えてください。
私自身も地域を歩きながら、皆さんの声を聞き、藤沢・神奈川の防災について引き続き考えていきたいと思います。
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【ご確認ください】
本記事は、気象庁、藤沢市、神奈川県などの公的情報を中心に、AI等も活用して情報を調査・整理し、内容を確認した上で作成しています。
気象・災害情報は刻々と変化します。本記事に記載した災害・避難情報は掲載時点の情報です。
実際の避難や安全確保の判断にあたっては、本記事だけに頼らず、必ず藤沢市、気象庁、神奈川県などが発表する最新の公式情報をご確認ください。
【参考情報】
<大雨・気象情報を知る>
大雨による土砂災害・浸水・洪水の危険度を地図上で確認できます。
線状降水帯の半日前予測、直前予測、予測マップなどについて確認できます。
<気候変動と大雨について知る>
日本の気温、大雨、台風、海面水温などについて、これまでの観測結果と将来予測をまとめた資料です。
気候変動による洪水、内水、土砂災害、高潮・高波などへの影響を、神奈川県の視点から確認できます。
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